怒りたくなるような場面でも怒りを表わさない「怒らない人」がいます。無関心で冷たいとも言われますが、どんな考え方をしていて、どんな心理的な特徴があるのか調査をしてみました。怒りをコントロールする方法やメリット、デメリットも含め「怒らない人」の全貌に迫ります。
怒らない人の心理や考え方の特徴11選!
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怒りたくなるような場面でも怒りを表わさないという「怒らない人」ですが、その心理や考え方にはどのような特徴があるのでしょうか。無関心で冷たい性格だからではないかとも言われますが、調べてみると意外な特徴が明らかになりました。11種類の特徴に分けてまとめてみます。
特徴①性格がとても優しい
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怒らない人の特徴の1つは、性格がとても優しいということです。怒らない人には元々の性格として「優しい」という特徴があり、優しいからこそ怒らないのではないかという見方です。
しかしこれには2つの見方があり、優しいから怒りの感情が出てこないのか、それとも怒りの感情はあるけど表に出す勇気が無いのかという点は、区別して考えた方が良いとの声もありました。ただいずれにしても「性格がとても優しい」という点が共通していることは間違いなさそうです。
特徴②育ちが良い
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怒らない人の特徴を聞いた時、よく出てくる意見に「育ちが良い」というものがありました。育ちの良いお坊ちゃんやお嬢様に違いないという指摘です。何か悪いことが起きても誰かが助けてくれるという環境で育ってきたからこそ、怒らない人になったという考え方です。
ただ、もちろんそういう人も多いでしょうが、育ちの良い人でも怒る人は怒るわけで、「育ちの良さ」が「怒らない人」とつながるかどうかは人によってマチマチとも言えそうです。
特徴③楽観的な性格
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怒らない人の特徴の3つ目としては、楽観的な性格を持っているということがあげられます。失敗が起きたり、期待していなかった現実に直面した時も、「どうにかなるさ」と達観していたり、「ここから何とかしてみせる」というガッツがあるわけです。
すぐ怒る人には、「もうこれでおしまいだ」とか「もう修復できない。どうしてくれるんだ」と、すぐに事態改善をあきらめてしまう傾向があるのかもしれません。その反面、なんとかしてみせるというガッツをもつ人なら、すぐに改善に向けた行動に出ます。怒るだけ時間がもったいないと考える人がいても不思議ではありません。
特徴④周囲に期待しない
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怒らない人の特徴を調べていたところ、周囲に過度に期待をしない傾向があるとの指摘が見つかりました。周りに頼り切るのではなく、もし期待通りの成果がでなければ自分で何とか片付けようという心構えができているというのです。
もし完全に依存した場合、何かをお願いしてそれが出来上がらなかった時、あわてふためくことになるのは自分です。そのため、うまくいかなかった時のことも想定して動くという考え方です。それほど周りに期待していないからこそ、計画どおりの成果が出なくても怒らないわけです。
特徴⑤面倒が嫌いな平和主義
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怒らない人の5番目の特徴として「面倒が嫌いな平和主義」という指摘もありました。怒りをぶちまけることで、逆に相手から逆ギレされたり、何か厄介なことが起きたりしたら面倒だという考え方です。自分で我慢できることなら余計な争いを起こす心配はなくなります。怒って事態が悪化するるくらいなら、自分で我慢をしようとするわけです。
特徴⑥「人は人」という割り切ることができる
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「人は人」という割り切ることができる点も、怒らない人に共通して見られる特徴とされています。人は人、自分は自分という考え方です。怒りたくなる事態が起きても、関わらないでおこうとします。きっと変な人だろうから、関わらないで放っておこうと考えるのです。「特徴⑤面倒が嫌いな平和主義」とも関連する特徴とも言えます。
特徴⑦あまりこだわりが無い
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7つ目の特徴は、あまりこだわりが無いということです。こだわりがある人ならば、望んだ通りの結果が出ない場合に不満をいだきます。なぜそのような事態になってしまったかを気にします。例えば待ち合わせの時間に数分遅れただけでも怒りを示すようなケースが考えられます。
しかしこだわりのない人であれば、望み通りの結果にならなくてもそれほどの不満を感じません。「まぁ、それでもいいことにするか」とあきらめるというかたちで事態を終息させることができます。怒る必要がないから怒らない、というわけです。相手が待ち合わせに少し遅れるとしたら「おかげで事前に話を整理できる余裕ができた!」と考えるのです。
特徴⑧聞き流すのが上手い
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怒らない人は、聞き流すのが上手いとも言われます。人から悪口を言われたら、多くの人は気分を害するものです。しかし何か悪意に満ちたことを言われたとしても、真剣に聞かなければ気にならないという考え方です。聞こえなかったふりをするのが得意だということです。
聞き流すのが上手いので、もし悪口を言われて怒りが芽生えても、「もしかしたら聞き間違いかも」とか「そうだ、聞き間違えに決まってる!」と自分を肯定してしまうわけです。たしかにこれが上手にできれば、小さなことに目くじらを立てる必要もなくなりそうです。
特徴⑨他人に程よく無関心
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怒らない人は相手に無関心なことが多いとされます。ポイントは、まったくの無関心ということではなく、「程よく無関心」ということです。これは「特徴⑧聞き流すのが上手い」とも似ていますが、悪口のように悪意ある「発言」を受けた時だけでなく、悪意ある「行動」を受けた時も怒らずに済ませることができるといいます。
もし怒りが芽生えても、「その行動に悪意は無かったんじゃないか」とか「まぁ、終わったことだからいいか」と流すことができるわけです。それゆえ冷たい人間だと言われることもありますが、いちいち調査して責任追及するくらいなら、自分の関心あることに目を向けたいという考え方になります。
特徴⑩他者の悪口を言わない
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「他者の悪口を言わない」というのも怒らない人に共通した特徴です。「怒る」と「悪口を言う」は似ています。しかし「怒る」という行為が「当事者に対して直接、怒りを示す」特徴をもつのに対し、「悪口を言う」という行為は「当事者に聞こえないようにして怒りを示す」という点が異なっています。
悪口も怒りの一種だから言わないようにする、という理屈です。また、怒らない人に共通する考え方として「悪口を言うと余計に事態が悪化する」というものがあるようです。「火に油を注ぐ」という言葉がありますが、怒らない人が他者の悪口を言わないという背景には、そうした点があるのかもしれません。
特徴⑪怒ることのデメリットを知っている
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11番目の特徴は「怒ることのデメリットを知っている」というものです。怒ることには様々なデメリットがあります。まず怒るということで時間が取られます。怒りの表出にはエネルギーも費やします。また怒りを示したことが原因で、逆ギレされてさらなる被害が出ることも考えられることでしょう。
もし怒りが訴訟につながれば、それこそ時間もかかりますし手続きも大変です。弁護士の世話になることを考えれば、泣き寝入りした方が賢いという判断も成り立ちます。様々なデメリットを考え、そもそも最初の段階で怒りを示すこと自体をやめてしまうということです。デメリットを熟知しているからこそ怒りを抑制できているという側面もありそうです。
怒らない人になるための怒りのコントロール方法!
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怒らない人の特徴を見てきましたが、「つい怒っちゃうんだよね」という人は少なくないはずです。そこで、怒らない人がどんな考え方で怒りをコントロールしているのか、その方法を探ってみることにしましょう。「アンガーマネジメント」とも言われる手法です。
方法①冷静になって考える
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怒りをコントロールする方法の1つ目は「冷静になって考える」ということです。「つい怒っちゃうんだよね」という人の多くは、何かが起きた時、すぐ条件反射的に怒りを出してしまうケースが多いそうです。冷静に考え直せばそれほど怒らなくても良かったかもしれないと、後から反省することになるのです。怒りをコントロールするにはオススメの方法です。
方法②こだわりを捨てる
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2番目の方法は「こだわりを捨てる」というものです。こだわりのある人にとって、こだわりを捨てるというのは難しいことかもしれません。しかし何かにこだわっているからこそ、それが邪魔された時に怒りを覚えることになるのではないでしょうか。
難しいかもしれませんが、できるだけこだわらないよう努力をすることが、怒りをコントロールするための近道になるようです。
方法③相手の立場や背景を考える
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「方法①冷静になって考える」ともつながることですが、相手の立場や背景を考えてみるというのも、怒りをコントロールするのに有効な方法だとされています。すぐに怒ってしまうという人の多くは、自分の基準だけで怒りを感じてしまうかもしれません。
自分にとってみれば怒りを感じるようなことかもしれませんが、相手には相手の立場や背景があります。そんな立場や背景を推し量ることで、「たしかに彼の立場からすれば、こうだったかもしれないな」と思えることもあるでしょう。怒りが沈静化できることもあるはずです。
方法④心身を満たしてストレスをなくす
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4つ目の方法は、心身を満たしてストレスをなくすというやり方です。怒りっぽい人は心身が満たされていないと言われ、多くのストレスをかかえているがゆえに怒りが爆発しやすいのではないかと指摘されています。怒りをコントロールするためには、心身を満たしてストレスを減らしていく工夫をすることです。
「怒りの耐性をつけていく」という方法です。一朝一夕にできることではありませんが、時間をかけて努力を重ねる中で、次第に怒りをコントロールできるような自分に近づけていけるはずです。
方法⑤ネガティブに考えない
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怒りをコントロール方法の最後にご紹介したいのが、ネガティブに考えないということです。ネガティブに考えはじめると、思考のすべてが悪い方向に見えてきます。ちょっとした出来事でも誰かの悪意によるものではないかと疑い始めたり、うまくいかない事態の原因を誰かに求めたりします。そうすると怒りの感情が芽生えてきても不思議ではありません。
しかしそれは、自分で勝手にネガティブに考えているからであって、実際にどうなっているかは冷静に確かめないことにはわかりません。ネガティブに考えないということは、いたずらに楽観的になることではなく、冷静に事実を見極めようということです。自分の心理を平常に保つことで、それは可能になるはずです。
怒らない人のメリットとデメリットは?
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怒りをコントロールすることで「怒らない人」に近づくための方法をご紹介しましたが、そもそも怒らない人にはどんなメリットがあるのでしょうか。もしかしたらデメリットもあるかもしれません。そこで、怒らない人のメリットとデメリットを調査してみました。
メリット①人との無用な争いを避けられる
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怒らない人のメリットは、人との無用な争いを避けられるということです。前述の通り、怒りを表出することで、余計な争いに発展するというケースはよくあるものです。逆ギレされて二次被害を受けることも考えられるでしょう。
また怒りを示してみたものの、それが自分の誤解にもとづくものであったら謝罪をしなければいけなくなります。余計な手間が増えてしまうわけです。無用な争いや手間を避けることができるということは、怒らないことの大きなメリットだと言えます。
メリット②無駄なストレスを避けられる
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怒らない人のもう1つのメリットは、無駄なストレスを避けられるということです。怒りを示すことにはエネルギーを要します。時間的にも金銭的にも負担がありますし、なにしろ大声を出して相手に詰め寄るということは、それだけでも精神的疲労をともなうものです。
ここから生まれるストレスは、本人の予想を超えるほど大きなものとなるケースもあります。怒らないことで無駄なストレスを避けられるというのも、大きなメリットの1つです。
デメリット①怒りを原動力にできない
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逆に怒らない人のデメリットは何でしょうか。まず1つ目に言えるのは、怒りを原動力にできないということです。怒りを原動力にすると聞いて、具体的なイメージがわかない人もいるかもしれません。しかし、何らかの被害にあった人が、その怒りが発端となって一念発起するということを聞いたことはないでしょうか。
例えば、事件にあったり被害にあったりした人が泣き寝入りするケースにふれて、それに対する怒りがもとで弁護士を目指すようになったり、社会を変えようと政治家を志すようになったりという事例です。これらは怒りが発端になっているわけですが、怒らない人のデメリットとしてそうした原動力が手に入らないという点があげられます。
デメリット②自分の感情にも疎くなる
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怒らない人のもう一つのデメリットは「自分の感情にも疎くなる」ということです。怒らない人には、もともと怒りを感じないケースと、怒りを感じても表に出さないケースがあります。後者の場合には、怒りを感じても表に出さないように行動しているうちに、だんだん自分の感情にも疎くなると言われています。
なぜなら自分の感情をごまかしているからです。そしてさらに怒りの心理を忘れていきます。ともすれば自分を認めないということにもつながりかねないので、怒らない人にとって要注意となるポイントです。
普段怒らない人が怒ると怖い!
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怒らないことのメリットとデメリットをご紹介しましたが、普段怒らない人が怒ると怖いと言われます。これはいったいどういうことなのでしょうか。怒らない人が怒りをぶちまけると何が起きるのか、ここでは2点をご紹介します。
①ギャップでより恐怖を感じる
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怒らない人が怒りをぶちまけると何が起きるのか、1つ目によくいわれるのがそのギャップです。普段怒らない人がいきなり怒ると余計に目出ちます。そのギャップが余計に恐怖を感じさせるということです。それだけよほど怒っているに違いないわけで、周りの人に「いったいどんな心理になっているんだろう?」と疑念をいだかせることになります。
②怒りをため込んでいる場合もある
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一方で、怒らない人の心理をのぞくと「実は怒りを感じている」というケースもあります。表に出さないだけで、我慢して溜め込んでいる可能性もあるわけです。
先ほども述べた通りですが、怒らない人には2つのケースがあり、本当に怒りを感じていないのか、それとも内なる心理としては怒っているけど我慢しているだけなのか、じっくり見極める必要があるとされています。
実は怒らない人は無関心で冷たい?
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最後に「実は怒らない人は、無関心で冷たい人間では?」という見方もあるのでご紹介しておきます。怒らない人の心理には何があるのでしょうか。冷たい人間で周りのことに無関心だから怒りを感じないのでしょうか。あるいは、何か特別な考え方があるのかもしれません。
無関心が必要な場合もある
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1つ目に言えるのは、無関心が必要な場合もあるということです。関心を寄せずにいられない問題ではあるものの、無関心にならなければ耐えられないというケースが考えられます。冷たいから無関心なのではなく、むりやりにでも無関心にならなければ、精神的な安定が保てない場合です。
できるだけ自分のことを考えるように思考を仕向けたり、変えられない過去を振り返らないようにするなどして、気持ちを安定させるのです。怒っても不思議ではない時に怒らない人がいたとしても、すぐに「冷たい人間だ」と決めつけるのは危険です。なぜなら頑張って無関心になろうとしているというケースもあるためです。
無関心が冷たいわけではない!
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つまり、無関心が冷たいわけではないということです。もちろん周りに関心を寄せない分、冷たい人間だと見なされることもあるでしょう。しかし本人からすれば、そういう考え方をしなければいけない程にショックを受けている可能性もあるのです。
外見だけで判断して「こんな時に怒らないなんて、なんて無関心で冷たい人間なんだろう?」と決めつけるのではなく、常にその人の心理を推し量ることも大切ではないでしょうか。
デメリットを知って怒りから解放されよう!
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怒りたくなるような場面でも怒りを表わさない「怒らない人」をクローズアップして、人物の特徴や性格、内面の心理や考え方などを調べてみました。周りに怒らない人がいたとして、単に不思議に思ったり、冷たい人だと決めつけるべきではないということも、おわかりいただけたのではないでしょうか。
また、怒りをコントロールする方法やメリット、デメリットも整理して、あらためて怒りとは何か、怒りを表現するとはどういうことなのかを考察してみました。自分なりに「怒り」を考え直してみることで、自分を理解したり他人を理解することがさらにもう一歩進むことができるのではないでしょうか。