ブラザー・コンプレックス、略してブラコンをご存知でしょうか。恋愛対象として兄弟を見ていたり、過干渉に兄弟を束縛したりと、周囲から見れば異常にみえることを行う人をブラコンと呼びます。本記事ではその特徴と原因、対処方法を解説します。
私ってブラコンかも!
『それってブラコンじゃない?』と言われたことはありませんか? 「昨日はお兄ちゃんとデートしてきた。普通にカップルに間違われたし!」 「弟がさー彼女いるくせに、お姉ちゃん大好きっていまだにまとわりついてくるのが可愛いんだよねー」 本人は普通の家族愛のつもりで会話をしていても、周囲から見ればブラコンに見えているかもしれません。今回はブラコン女子の特徴や恋愛傾向、対処方法についてご紹介していきます。
ブラコンって一体どういう意味?
ブラコンとは、正式にはブラザーコンプレックスといいます。意識的には普通の兄弟に対する愛情と思っているのですが、深層心理では恋人としての視点から相手を独占しようとしている状態がブラコンになります。心理学としては正式な用語ではありません。 同じようなものでファザコン・マザコンもありますが、こちらは親が対象になるので、思春期の時期になると恥ずかしい思いから卒業していきますが、ブラコンは愛着が強すぎても「兄弟仲が良い」と片づけられるため、ブラコンの状態のまま大人になってしまう傾向があります。
ブラコン女子の特徴
ブラコンが問題として意識されないのは、様々な面で力を発揮できるメリットがあるためです。親しくでき、受け入れてくれる異性が身近にいるため、妹・姉としてのブラコン女子は自己肯定感が高く、広い社交性を持っています。ただし、もちろん悪い面もあります。 ブラコン女子の性格的特徴について解説します。もしかすると職場のあの人も、実はブラコンかもしれません。自分も当てはまる部分が無いかチェックしてみてください。
特徴1:どこか余裕がある
ブラコン女子は、精神的が安定していて心に余裕があるため、自信を持っている人が多いです。そのため臆することなく意見が言えたり、自分のことを表現することができます。 小さい頃から年の近い異性の兄弟と仲がよく、愛し愛される経験から自己肯定感が高い性格と安定した生活を送りやすい傾向があります。 しかし、ブラコンによる弊害として、周囲に拒絶されるような出来事があったり、兄弟に恋人ができたりすることで、自己正当化や兄弟との世界に潜り込むために極端な行動をとる場合もあります。
特徴2:いい意味で異性慣れしている
ブラコンになってしまうほど近い存在として兄弟と仲が良い場合は、家族以外の異性と仲良くなることに抵抗がありません。職場や学校でも、先輩や同僚といった異性でも緊張せずに接することができたり、しっかり意見を伝えることができます。 男友達も多い事もあり、年長から可愛がられたり、親しみやすかったりと、仕事などで物事を運ぶときに良い思いをするケースがあるでしょう。 「異性だから」と特段意識せずに仲を深めることができるため、スムーズに恋愛関係にもっていくことで「恋人が途切れない」といった状態のブラコン女子もいます。
特徴3:甘えん坊
兄弟に接するように抵抗なく他者(異性)と仲良くなれるため、かわいがられることが多いのがブラコンです。 兄弟に甘えるように異性にも甘えることができます。男性に甘えたり頼りにして、受け入れてもらえることが当然のため、甘えることにも抵抗がありませんし、ブラコン女子にとってはむしろそれがコミュニケーションの一環といて考えている部分があります。
特徴4:世話好き
兄弟を愛するあまり、自分の必要性を兄弟に認知させたり、兄弟の行動をコントロールしたりする心理から、世話好きなブラコンが多いです。 母性本能が強い場合もありますが、自分に振り向かせることや独占欲という動機が軸になっているため、世話に対する愛情や感謝を返さなければ行動がエスカレートする場合があります。 ブラコンとともに、「自分に注目してほしいから相手を助ける」というメサイアコンプレックスも抱えている可能性に注意です。
特徴5:理想が高い
身近な兄弟に対し、恋人として見ているため、恋愛においてはやはり兄弟が基準となって異性を見ています。 日常生活を兄弟と送っていることから、無意識に兄弟の悪い点を受け入れて良い点を強調して考えているため、恋人選びの際に兄弟と違う点があると、途端に冷めてしまいます。 兄弟との居心地の良さを求めて別れることがあります。ブラコン女子は、兄弟には許せるようなことも他の異性に対しては許せず、そうして求める部分が細かくなって理想が高くなります。
特徴6:視野が狭く、客観的に見れない
理想が高いのと同様に、ブラコン女子は兄弟を中心とした世界を持っているため、他者と兄弟のどちらを優先するかといった状態となると兄弟を優先します。 兄弟が安心できる居場所となっているので、その居場所さえ確保できていればよいと外の世界が見えなくなっているのです。 他に魅力的な異性や出来事があっても兄弟から自立することができないので、兄弟が結婚するといった自分から離れていく状況になって気づいた時には、「自分に他に何もない」といったことにすらなります。
特徴7:依存心が強い
精神的に安定していたり、協調性があったりするブラコン女子ですが、それらの余裕は愛する兄弟が身近にいるためです。 兄弟からの絶対的な愛情に依存し、わがままをいつも受け入れて貰えているため、自分で調べたり行動したりせず、他人に対しても同じように依存した対応を取ります。 兄弟が相手をしてくれなくなったり、彼女ができたりすると、途端に余裕がなくなることが多いです。依存に関しては、これもコミュニケーションの1つと考えているため、兄弟以外の異性にも依存し、同性からやっかみをもらうこともあります。
特徴8:他人への興味・関心がない
優先順位として兄弟への関心が高いため、それ以外の他人に関しては興味・関心があまりありません。評価も気にしないため、そういった態度が精神的に安定している、異性慣れしているように見える要因になります。 ブラコン女子は社交性が高く見えますが、興味の中心は兄弟になるためあまり豊富な話題を持たず、また、他人に対しても無頓着なため、人の話もきちんと聞きません。マイペースなので空気を読めないところがあります。
ブラコン女子の恋愛傾向
ブラコン女子の特徴の中で良い面・悪い面をご紹介しましたが、ブラコン女子の恋愛傾向はいったいどんなものなのでしょうか。 ブラコンのため、基本的には兄弟に似た容姿や性格を恋人に求めていますが、その恋愛傾向にはブラコン女子であるがゆえの問題点ともなっています。その恋愛傾向をご紹介します。
傾向1:異性との付き合いが軽い
「異性慣れしている」という特徴の通り、異性とすぐに恋愛関係になれるため恋人が途切れることがありませんが、その分深い付き合いが苦手な傾向があります。 これは、心理的に兄弟を恋人として考えているため、無意識に本来の恋人を恋人として認識していないのです。友達以上恋人未満の状態でお付き合いをしているので、別れやすく付き合いやすいという、「恋人が途切れない」という状況を生み出しています。
傾向2:兄弟を優先する
何事にも兄弟を中心に考えて優先するため、恋人は愛人のような扱いをされてしまいます。恋人の顔を立てたり気持ちを考えたりせずに兄弟を優先するため、初めは熱を持って接していた恋人も冷めていきます。 話題の中心も行動の動機も兄弟であるため、ブラコンであることを理由に振られてしまうことが多いようです。
傾向3:兄弟と恋人を比較する
兄弟に似た容姿・性格の恋人を持ちやすいのがブラコン女子ですが、恋人を持ったとしても兄弟の方を愛しているので、兄弟と恋人を比較します。 「お兄ちゃんと性格が似てるけど、お兄ちゃんの方が面白い」 「仕草がお兄ちゃんっぽいなー」 恋人の個人としての性格や容姿を見らず、恋人を通して兄弟の姿を見ているので、恋人がそれに気が付くと途端に恋愛関係が破たんします。
傾向4:恋人の欠点が見えやすい
兄弟を理想の恋人と考えているので、恋人の度量や対応など、兄弟と違うところがあると欠点としてカウントします。それだけでなく、思った通りの行動をしない恋人を勝手にダメな人間と考えて、恋人を下げる言動をするブラコン女子もいます。 兄弟の方が優れているわけではなく、小さい頃から一緒にいる時間が長いために兄弟の悪い点を受け入れていたり、兄弟のブラコン女子に対する接し方や対応が慣れていることを普通と考えているので、兄弟以外の異性を受け入れることができません。
傾向5:「付き合う人に束縛されやすい」と考えている
兄弟を優先したり比較したりと、恋人を一番に考えない対応を無意識にしているため、恋人が嫉妬したり反感を買ったりしてもそれらを束縛と考えて原因を自分に求めません。 恋人が「自分を優先してほしい」と嘆願しても、「束縛している」と相手の責任にします。ブラコン女子が相手を二番手扱いし、恋人の感情を理解しようとしていないことに気が付いていません。
ブラコンを改善するには?
ブラコン女子を改善するためには、ブラコン女子になった原因と問題点をしっかり理解しなければいけません。 ブラコン女子として行き着いてしまった現状には、ブラコンを問題として理解できない周囲の状況もあります。そんな状況・原因に基づいて改善点を解説していきます。
改善1:ブラコンを自覚する
当事者であるブラコン女子は、家族愛の延長と思っているため指摘されても理解できません。家族でさえも「うちの子たちは仲がいいから」といった程度で考えている場合があります。 ブラコンになる原因として、弟・妹が生まれたことによって、親の愛情を一身に受けられなくなった長子が、感情のバランスをとるために弟・妹を独占・支配することで愛情を得ようとしている場合や、親の放任主義のために兄弟間の距離が近すぎてブラコンに至る場合があります。 兄弟に恋人ができたら腹立だしい、近しい人よりも兄弟のことを優先するといったことがあれば、今までの家族観で判断するのではなく、一度自身がブラコンであることを疑ってみるべきでしょう。改善するためには、まず問題を認知することが必要です。
改善2:兄弟に依存しない
自立しているように見えて、兄弟の愛情や意見なしでは判断ができないという場合もあります。自身がブラコン女子かもしれないと思っているならば、日常の中でどれだけ兄弟に関わっているかを考えてみるとよいでしょう。 人と会話をするのに兄弟の話題が多い、恋人よりも兄弟の予定を優先してばかりいる、恋人の意見より兄弟の意見を重視するといったことが頻繁に起きているのであれば、ブラコン女子として兄弟に依存している状態になります。 また、逆にシスコンの兄弟の影響をうけてブラコンになっているケースもあるので、そちらも確認してみるべきです。
改善3:自分の理想の異性像を考える
理想の異性像としての兄弟がいるからこそブラコンといえるのですが、ブラコンであることを問題としてとらえた上で、どんな恋愛がしたいのか、どんな相手とお付き合いしたいのかと意識的に考えてみるとよいでしょう。 更に深く考える上で、性的な場面になった時にどういう恋人だったら身をゆだねることができるのかを自問すると、恋人と兄弟は別次元の存在だと理解することができるようになります。 ブラコンの場合、兄弟に対して性的欲求をもっていることはあまりなく、性的な意識を持つことでやっと兄弟と恋人は別枠であると気が付き、兄弟に対する適切な距離感を持つことができます。
改善4:シスコンと付き合ってみる
自分がブラコン女子であるならば、いっそシスコンの男性とお付き合いするのも良いかもしれません。お互い兄弟・姉妹に対して同じように愛情を持ち、依存心が高ければ、マッチする可能性が高いでしょう。 シスコンは、「女性は守らなければならない」「さびしがり屋」「尽くしたい」という特徴があるため、ブラコン女子の「甘えん坊」「依存心が強い」「世話好き」という特徴とうまくマッチングさせれば、お互いを求めあうカップルになれます。 また、相手が姉妹を優先させる状況をみて、ブラコンとしての自分を冷静に客観視できるきっかけにもなるでしょう。もしブラコン・シスコンが治らなくても、お互いを尊重し理解できる間柄として続けられます。
ブラコンの人にはどう対処すればいいの?
ブラコンを問題視したり、否定したりすることは、本人にとってデリケートな部分をつつかれているのと同様です。付き合いが深くない場合はそっとする、距離を置くといったことが無難でしょう。 ブラコン女子の当事者に対し、近しい間柄でブラコン女子の考え方が心配だと考えているならば、さりげなくブラコンは問題だと本人に伝え、本人に問題意識を持たせることから始めるべきです。 また、ブラコン意識のために本人が望んでも恋愛が続かなかったり、精神的な自立が必要なのにどうしても兄弟に依存して苦しんでいたりする場合は、心理クリニックでカウンセリングを勧めてみるのもよいでしょう。
相手を思いやる心が大事
ブラコン女子であっても、自分の行動が相手を尊重しているかを考える習慣を持つことでトラブルを回避することができます。 また、周囲にブラコン女子がいたとしても、ブラコン女子にとっては育ってきた家庭環境に基づいた根深い価値観・性格であるため、安易に否定することはやめましょう。 迷惑を掛けられている場合は、本人のためにしっかり伝えるか、それができなければ関係を回避するべきです。陰で指をさしたりせず、「家族を大事にしている人」と考えておおらかな気持ちで接しましょう。