「スポイル」という言葉をご存じでしょうか。これは、相手のパフォーマンスの発揮を阻害するという意味の言葉です。この記事では、スポイルという言葉が持っている意味や類語、使われる場面について、例文を交えながら紹介していきます。
スポイルとは
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まず、「スポイル」とは何でしょうか。主に、ビジネスや教育の場で耳にしたことがあるかもしれません。これは、英語の“spoil”から来ている言葉です。ここでは、スポイルの英語における元々の意味や語源などについてみていきます。
英語の「spoil」と同じ意味
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英語の“spoil”には、「悪い影響を与えることで、ヒトやモノが本来持っている性質や特徴の魅力をかき消してしまう」という意味があります。日本語にすると、「(食べ物などを)ダメにする」、「甘やかして人をダメにする」、「台無しにする」といった訳にあたる言葉です。
日常やビジネスで聞くカタカナ語の「スポイル」もこれと同じ意味を持ち、相手の個性や能力が発揮できぬようにしてしまう状況を指して使われます。英語の“spoil”とカタカナ語の「スポイル」には意味の違いは全くないといえます。
スポイルの類語
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「スポイル」は、いくつかの意味を持っています。これらの類語をみてみましょう。
まずは日本語からです。最初に「(食べ物などを)ダメにする」ですが、これは、腐らせるという意味なので、「傷ませる」といった語が類語にあたります。次に、「甘やかして人をダメにする」は、「ちやほやする」といった語が類語にあたります。最後に、「台無しにする」ですが、「ご破算になる」や「ふいになる」といった語が類語にあたります。
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さらに、英語の類義語についてもご紹介致します。「(食べ物などを)ダメにする」ですが、これは、「go bad」が類語にあたります。次に、「甘やかして人をダメにする」ですが、「babyが類語にあたります。最後に、「台無しにする」ですが、「ruin」が類語にあたります。
ちなみに、スポイルする、スポイルされるという言葉の主語がヒトの場合、「甘やかしてダメにする」という意味を持つ場合がほとんどです。また、主語がモノの場合、「ダメにする」や「台無しにする」という意味で使われます。
スポイルの語源
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「スポイル」の語源はラテン語で、動物の皮を剥ぐ、略奪する、といった意味の語句に由来しています。spolio(奪い取る)>spolium(打ち負かした敵からはぎ取った武器)+-o(する)>spel-(切り離す)のように変化したと考えられています。
この言葉は、「奪い去ること」が主な意味となる言葉です。また、despoil(略奪する)と同じ語源でもあります。実際、“spoils”などと複数形の名詞で使われる場合、「戦利品、略奪品、権利、役得」といった意味になります。
動物の皮を剥いだり、略奪した結果、奪われた側をダメにする、と意味が派生していった言葉がスポイルなのです。
「スポイル」の言葉がよく使われる場面
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現在はカタカナ英語として使用されることが多い「スポイル」は、日常で使われる場面があります。ここでは、スポイルの言葉が使われる場面をみていきます。
ビジネスの場
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ビジネスでは、大きく分けて2つの場面でスポイルが使われています。
まずは、顧客に対して使われる場面です。企業がサービスを拡充していった結果、顧客からの理不尽なクレームが増えた時に使われます。これは、よかれと思ってしたサービスが、結果的に顧客を手取り足取り世話することになっており、顧客を甘やかし、態度を大きくしてしまう状況をさします。
次に、仕事の内容に使われる場面です。企画やアイデアが、何らかの原因でおじゃんになったときに使われます。例えば、時間をかけて練り上げた企画が、プレゼンに出したら反対にあい、白紙にもっどた時に「企画がスポイルされた」という風に使います。
子育ての場
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子育ての場において、スポイルは主に、子供を甘やかしてダメにするという意味で使われます。例えば、過保護の親が我が子をかわいく思うばかりに甘やかしてしまう場合や、親が子供に関することを何でも決めてしまう場合に、「子供をスポイルする」という風に使います。
スポイルという言葉が最も頻繁に使われるのは子育ての場といえるではないでしょうか。また、スポイルされる側の幼さと無垢さゆえに、その影響が最も強いのも子育ての場だともいわれています。
教育の場
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子育てに共通する場面として、教育の場でも「スポイル」という言葉が使われます。例えば、時間が惜しい朝、幼稚園に通う子供が必死に制服のボタンをつけようとしている時、それを親が代わりにやってしまう場合です。このとき、親は子供の学ぶ機会を奪っているため、子供をスポイルすることになります。
親はよかれと思って子供に手を差し伸べているつもりでも、それが必ずしも優しさであるとは限らないのです。
スポイルの正しい使い方・例文【スポイルする】
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ここまで、スポイルの言葉の意味や使われる場面についてみてきました。では、実際の会話ではスポイルがどのように登場するのでしょうか。
例文①
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例文 |
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『お客様は神様です』の精神が、客をスポイルする |
この例文は、「過剰なサービスや接客が、まがままな顧客を生み出す」ことを意味しています。ここではスポイルは、顧客を甘やかしてダメにするというニュアンスで使われています。
モンスタークレーマーが問題になっている昨今、お客様は神様という言葉が物議を醸しています。あるいはこの問題は、行き届いたサービスが顧客を甘やかしたことによって起きているといえるかもしれません。
例文②
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例文 |
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子供たち自身に考えさせないと、彼らをスポイルするよ |
この例文は、「子供の課題に、親はむやみに介入してはならない」ことを意味しています。ここでのスポイルは、子供の学びの邪魔をするというニュアンスで使われています。子供が困難に遭遇したとき、親はむやみに手助けしようとせずにそばで見守り、子供たち自身に問題を解決する努力をさせるべきだということです。
例文③
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例文 |
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間違いは正してあげないと、スポイルすることになりかねない |
この例文は、「悪いことをしたら、注意すべきだ」という意味です。ここではスポイルは、教育やしつけを怠るというニュアンスで使われています。甘やかすことがスポイルにあたるということは、理解しやすいのではないでしょうか。しかし一方で、しつけを怠ることもまた、スポイルにあたるのです。
スポイルの正しい使い方・例文【スポイルされる】
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次に、「スポイルされる」とはどういうことなのでしょうか。スポイルされる状況について、例文を交えて具体的にみていきます。
例文①
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例文 |
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あのプロジェクトは、スポイルされることになった |
この例文は、「プロジェクトが白紙に戻された」ことを意味しています。ここではスポイルは、台無しにするというニュアンスで使われています。また、スポイルされるのはヒトに限らず、モノにも当てはめて使われます。モノが主語にあたる場合、「スポイルされる」と表現しましょう。
例文②
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例文 |
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スポイルされたあの人は、入社間もなかった |
この例文は、「上司からのパワハラやセクハラ行為により、新入社員が会社に来なくなった」ことを意味しています。ここではスポイルは、人をダメにするというニュアンスで使われています。
スポイルは、甘やかして人をダメにするという意味だけでなく、厳しい攻撃を加えて人を再起できなくする(ダメにする)という意味もあるのです。これは、スポイルの中でも特に使いたくない用法です。
例文③
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例文 |
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スポイルされた犬はよく吠える |
この例文は、「しつけられていない犬は、人を見れば吠えてかかる」という意味です。ここではスポイルは、しつけを怠るというニュアンスで使われています。
スポイルされるのは子供に限らず、ペットにも当てはめて使われます。共通しているのは、教育やしつけを省いた結果、制御が効かず、好き勝手に振る舞うようになってしまったという点です。
スポイルは日常でもビジネスでも使われたくない言葉
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ここまで、「スポイル」という言葉について、その意味や類語、例文について詳しくみてきました。この言葉は、ビジネスや子育て、教育、さらにはペットとの関係など、実に広範な場面で、ヒトに限らずモノにも使われている不思議な言葉です。
この言葉の根底にあるのは、ヒトやモノが本来持っている性質や特徴の魅力をかき消してしまうほどの悪影響を与え、将来に向かって育つはずだった個々の強みや自立心を阻害してしまうという意味です。
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スポイルはカタカナ英語ということで、日常生活の中で使用できればかっこいいのですが、一方で、この言葉は総じてネガティブな意味を持っています。そのため、あまりなるべく自分に向けて使われたくない言葉でもあることでしょう。
様々なヒトやモノとの関係の中で、相手の特性や性質を最大限発揮させるために、スポイルしてしまうことがないよう心がけていきましょう。