インターネットには、検索してはいけない言葉というものが存在します。アステカの祭壇もそのひとつです。ここではアステカの祭壇の心霊写真にまつわる真相と嘘、テレビ番組『アンビリーバボー』でアステカの祭壇を取り上げた際に起きた騒動についてなどを紹介していきます。
アステカの祭壇とは
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アステカの祭壇とは、人や物を中心に正体不明の赤いもやがかかっているという心霊写真を指す言葉です。元々はアステカ文明で使われた生贄を捧げる祭壇のことでしたが、現在、特にネット上ではアステカの祭壇というと心霊写真のほうを指すことが多いです。ここではアステカの祭壇について、詳しく紹介していきます。怖いものが苦手な人はご注意ください。
検索してはいけない言葉のひとつ
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検索してはいけない言葉とは、ネットで検索すると見た人にトラウマを与えるようなグロ画像、恐怖画像が出てくる言葉です。また危険なアングラサイトやコンピューターウイルスが蔓延しているサイトに繋がる言葉も、検索してはいけない言葉とされています。
ただし、検索してはいけないと言われると逆に検索したくなる人が多いのも事実です。そのため検索してはいけない言葉とは、怖いもの見たさの欲求を満たしたい時に検索をかける言葉、と捉えられることもあります。
アステカの祭壇はこの検索してはいけない言葉のひとつです。アステカの祭壇は心霊写真なので恐怖画像にあたりますが、全ての恐怖画像が検索してはいけない言葉に分類されるわけではありません。何故アステカの祭壇が検索してはいけない言葉として存在しているのか、それは後で詳しく触れていきます。
アステカ文明の生贄の儀式に関係
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アステカの祭壇という心霊写真は先に少し触れた通り、アステカ文明の生贄の儀式に関係しています。というのも、写真には赤い色の台や壺のように見えるもやが写り込んでおり、その台と壺こそアステカ文明の生贄の儀式で使われた祭具だと思われたからです。
アステカ文明の生贄の儀式とは
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アステカの祭壇という心霊写真を生み出す原因となったアステカ文明の生贄の儀式とは、どのようなものなのでしょうか。ここからは日本人には馴染みの薄い、アステカ文明とその儀式の内容について触れていきます。
そもそもアステカ文明とは
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アステカ文明とは、14世紀から15世紀にアステカ族という民族がメキシコ中央高原で興した文明のことを言います。エジプトのものとは違うピラミッド型の神殿や不思議な絵文字、人間を生贄として捧げる風習があるということが特徴的な文明でした。後にスペインのエルナン・コルテスによって征服され、滅ぼされてしまいます。
生贄の神事を行っていた
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アステカ文明の特徴のひとつである、人間を生贄として捧げる風習について詳しく見ていきましょう。アステカ文明では、生きた人間から心臓を取り出し神に捧げるという神事が行われていました。
心臓を取り出したあと、残った遺体はトウモロコシなどの穀物とともに調理され、貴族や司祭など身分の高い者が食べたと言います。心臓を捧げる以外にも、様々な神事が行われました。生きたまま捕虜の皮を剥いで神に捧げる神事、子供の喉を裂いて捧げる神事など、どれも残酷なものだったそうです。
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現代人には恐ろしく残酷でしかない神事ですが、アステカ社会に生きた人々にとって、生贄を使う神事はなくてはならない重要なものでした。アステカ文明では太陽が消滅してしまうという終末信仰があり、太陽の消滅を先延ばしにするには生贄が必要だと信じられていたのです。
生贄を確保するためにわざと戦を仕掛けたり、倒した敵を殺さず生贄要員として飼っておくということすらしました。敵がどう思っていたかはともかく、アステカ社会に生きた人々にとっては、生贄になることは大変名誉なことでした。最期は残酷ですが、生贄に選ばれた人間はアステカの者であれ敵であれ、丁重に扱われたとのことです。
アステカの祭壇は生贄をささげる台座
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アステカ文明にて、アステカ人や捕虜などを生贄に捧げる際に使われた祭壇のことを、アステカの祭壇と言います。アステカの祭壇には、儀式の残酷さを象徴するようなものがいくつも設置されていました。
代表的なものが、台と壺です。台は、生きたまま心臓を抉り出されたり皮を剥がれたりする生贄が暴れないよう、縛りつけるためのものです。壺は生贄から流れ出た血を入れるために用いられました。
アステカの祭壇の真相【検索してはいけない言葉】
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台や壺型の赤いもやが映り込んだ心霊写真が、何故アステカの祭壇と言われるのかはわかったかと思います。ではどうして、アステカの祭壇という心霊写真が騒がれるようになり、最終的に検索してはいけない言葉とまで言われるようになったのでしょう。その理由は、現在でも放送されている有名なテレビ番組にありました。
『奇跡体験!アンビリーバボー』で紹介された
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まずは、後にアステカの祭壇と呼ばれるようになる写真が世間の目に触れることとなったきっかけから紹介していいます。その写真が登場したのは有名なテレビ番組『奇跡体験!アンビリーバボー』の心霊写真特集でした。アンビリーバボーといえば、世界中で起こる超常現象や怪奇現象を取り扱う人気番組です。
現在は滅多に見られなくなりましたが、以前は頻繁に心霊写真を紹介し、それを霊能力者が鑑定するというコーナーがあって人気を博していました。そのコーナーの中で、赤いもやが広範囲に広がった写真が紹介されます。
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パッと見の印象だけでもかなり恐ろしい写真ですが、一番の恐怖は見た目とは別のところにありました。似たような赤いもやの写真が複数存在したのです。
写真はどれも違う年代に違う場所で撮られたものであり、撮影者たちに接点はありませんでした。全く関係ない人たちが関係ない場所で撮影したにも関わらず、驚くほど類似した心霊写真が撮れてしまったのです。
心霊写真を霊能者立原美幸が鑑定
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アンビリーバボーの心霊写真コーナーでは、霊能力者の立原美幸が紹介された心霊写真がどのようなものなのか鑑定し、視聴者に説明するのがお決まりとなっていました。その日もいつも通り、立原美幸は写真を鑑定し解説したのです。
立原美幸いわく、写真に映っている台や壺は古代文明で使われた、生贄を捧げる儀式のための祭具であるということでした。生贄にされた者たちの怨念が宿っているためかなり危険らしく、その鑑定結果にスタジオ中が息を飲みます。
霊能者達から抗議の声
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立原美幸の鑑定結果がどれだけ恐ろしいものであったとしても、それだけだったらよくある心霊写真のひとつとして終わっていたでしょう。問題は放送後、番組宛てにかかってきた電話にありました。電話をかけてきたのは、番組を見ていたという多くの霊能者たちでした。
彼らは一様に赤いもやの写真の危険性を訴え、そんな危険なものを放送したテレビ局に対しての苦情を申し立てました。スタッフはどう危険なのか詳細を訊ねましたがそれについては誰も答えず、ただ二度と放送してはならないと言うだけだったそうです。
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しかし一方で、苦情はあったもののそれは霊能者からではなく、プロのカメラマンやカメラに詳しい人たちからの苦情であったというのが真相だという話もあります。苦情の内容は、インチキな放送はするなというものでした。写真に携わる人たちからすれば、どんなにおどろおどろしく見えても実際はただのカメラの問題だったのです。
昔はカメラの性能が現在ほど良くなく、写真に妙なものが映り込むことは少なくありませんでした。それなのにいたずらに恐怖心を煽る番組が許せなかったのでしょう。どちらも噂の域を出ないため、苦情の電話に関する真相はわかりません。しかしカメラが進化した今、アステカの祭壇と言われるタイプの写真が見られなくなったことは事実です。
インターネットで怖い噂が流れる
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赤いもやの写真がアンビリーバボーによって世間の目に晒されたあと、インターネットが普及してくるとともに写真にまつわる恐ろしい噂が流れるようになりました。そうして生まれたのがアステカの祭壇の都市伝説です。
まず、アンビリーバボーで紹介された赤いもやの写真に映っているのは、アステカ文明で使用された残酷な生贄の儀式に使う祭具であると言われるようになりました。そして祭具には強い怨念が宿っており、写真に赤いもやとして祭具が映ると、写真に映っている人間は死んでしまうという噂が流れます。
さらには、写真を見た人間も死んだり不幸な目に遭うという過激な噂も流れました。以降、赤いもやの写真はネット上でアステカの祭壇という名をつけられ、見ただけで呪われるためその言葉を検索してはいけないと言われるようになったのです。
心霊番組の減少へつながった?
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噂では、番組に次々と赤いもやの写真が送られてくるようになり、スタッフが気味悪がったことがきっかけで、アンビリーバボーの心霊特番が減少したと言われていました。しかし一方で、前述した通り写真の赤いもやが怪奇現象ではなくカメラの問題によるものだと世間にバレてしまったため、心霊特番が放送できなくなったとも言われています。
そもそも後にアステカの祭壇となる写真は一般投稿者から送られてきたものではなく、霊能者から提供された写真だそうです。つまりはヤラセに近い写真だったのです。そのうえ怪奇現象でもなんでもない、ただのカメラの不具合だということが出回ってしまえば、視聴者は本物の心霊写真を見ても疑ってしまうでしょう。
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また、アステカの祭壇は人為的に撮ることが可能で、番組に送られてきた写真は多くが人為的に撮られた嘘の心霊写真でした。他の心霊写真も同様で、作られたものが番組に投稿されることが増えてきたのです。
心霊写真を作って番組に投稿し、その後ネットで作ったものであることをバラす人が増えたため、アンビリーバボーだけでなく心霊番組自体が減少したと言われています。誰でも心霊写真が作れるようになったこと、SNSで個人が世界中の人に情報を発信できるようになったことが、一番説得力のある心霊番組減少の理由です。
アステカの祭壇の心霊写真は嘘?疑惑の真相
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現在では、アステカの祭壇の心霊写真はカメラ自体に問題があったか、現像時のミスなどによって生まれた心霊とは全く関係ない写真、という見方が強いです。ではカメラの問題、現像時のミスとは具体的にどのようなものなのでしょうか。
真相①留め具の映り込み?
Photo by StockSnap
赤いもやの正体として疑われているもののひとつが、カメラのストラップの留め具です。写真を撮った際、この留め具が写り込んでしまった結果、心霊写真のようなおどろおどろしい写真になってしまったのではないかということでした。
真相②露光調節の失敗?
Photo by monicore
アステカの祭壇という写真が生まれた理由として、露光調節の失敗も挙げられています。露光調節とはカメラのレンズを通過する光の量や、画面の明るさなどを調節することで、この段階で失敗しているため不自然な赤いもやが焼きつけられたのではないかと言われています。
真相③現像ミス?
Photo by PublicDomainPictures
写真屋の現像ミスも、アステカの祭壇が生まれた理由に挙げられています。当時はデジカメが普及した現在と違い、写真を撮るのはインスタントカメラでのことが多かったでしょう。自分で現像できないため、皆フィルムを写真屋に持ち込んで現像してもらっていたはずです。
インスタントカメラの写真を綺麗に現像するにはいくつかの作業を正しく行うことが重要なのですが、写真屋のミスによっていずれかの作業が正しく行われなかった場合、アステカの祭壇が生まれることがあるのです。
アステカの祭壇を人為的に撮る方法
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アステカの祭壇は人為的に撮ることが可能なため、そのせいでテレビ局が恥をかき、心霊番組が減ったとも言われています。ここでは実際にアステカの祭壇を撮る方法を紹介していきます。
使い捨てカメラで撮る
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まず重要なのは、インスタントカメラで撮ることです。何でもいいので被写体を決め、フィルムを使い切るまで写真を撮ります。次にカメラを覆う紙を剥がして捨て、プラスチックのボディーのみの状態にしましょう。
フィルムを感光させる
Photo by Ramdlon
ボディーははめ込み式になっています。10ミリ~20ミリ程度の隙間を本体に開け、間髪入れずにすぐ閉じてください。こうすると、フィルムの最後のコマに光を入れ感光させることができます。続いてボディーを綺麗に戻してください。
光が隙間から入りそうな場合は、テープで留めます。フィルムの巻き上げダイアルを限界点からさらに無理やり回し、最後まで回しきります。次にカメラのはめ込みを外し、フィルムを外に取り出しましょう。
全て現像する
Photo by MIKI Yoshihito. (#mikiyoshihito)
取り出したフィルムは写真屋に持ち込み、現像とプリントをしてもらってください。写真屋は撮影ミスと思われる見た目が汚い写真は、プリントしてくれない場合があります。ミスと思われる写真も含め、必ず全ての写真を印刷してくれるようあらかじめ依頼しておきましょう。
アステカの祭壇は人為的に撮影可能な写真だった
Photo by DEZALB
検索してはいけない言葉として恐れられているアステカの祭壇ですが、ネットでデマ情報が拡散されただけで、実際は偶然によって生まれた普通の写真である、というのが真相でした。
もしネット上の噂が本当であれば、これまでに多くの人が犠牲になっているはずです。とはいえ、気味の悪い見た目の写真であることは事実ですし、赤いもやの写真全てが心霊写真ではないとも言い切れません。
もしアステカの祭壇らしき写真を撮ってしまった、もしくはそういう写真を持っている人は、まずは冷静にカメラの問題を疑いましょう。パニックになることを防ぎ、そのうえでやはり気味が悪いと感じた場合は、然るべき場所でお祓いを受けるのがいいでしょう。