「同席」の敬語での使い方
「同席」の敬語での使い方は謙譲語と尊敬語があります。「同席」は名詞なので、それ自体を変化させて敬語として使うことはできません。「同席」のあとに謙譲や尊敬をあらわす言葉をつけて使います。
「同席」の謙譲語
「同席」の謙譲語は「同席していただく」などがあります。名詞である「同席」のあとに「してもらう」を謙譲語にした「していただく」をつけた形です。これは国語的には正しくないと思われる場合があります。
謙譲語は、へりくだった表現をすることにより、相手に対して敬意を表す言葉です。ですので「同席していただく」のように相手の行動を前提とする場合は相手を持ち上げる尊敬語を使うべきだという考えです。
ところが、ビジネスシーンなどではよく使われることがあります。これは相手に対してより丁寧な言葉を使おうとするためです。文法的には正しくないとされても慣習として使われることがあります。例文としては次のようなものが挙げられます。
「準備が整いましたので、皆さまには会場にて同席していただきますようお願いします」。
「同席」の尊敬語
「同席」の尊敬語は「同席してくださる」があります。名詞である「同席」のあとに「してくれる」を尊敬語にした「してくださる」をつけた形です。尊敬語は相手の行動を持ち上げることで相手に対して尊敬を示す語法ですので、「同席していただく」とは違い文法的に正しい使い方になります。
文法的には尊敬語である「同席してくださる」を使う方が正しいとされますが、ビジネスシーンなどで慣習的に「同席していただく」などを使う場合もありますので注意が必要です。例文として次のようなものが挙げられます。
「先生、この度は同席してくださりありがとうございます。」
「同席」の類語
「同席」の類語は「列座」や「参列」などがあります。個別に詳細についての説明をします。
列座
「列座」は、ある場所に居ることや複数の人々が並んで座っていることを意味します。「同席」と同じように、ある場所に複数の人々が座っているという意味を持ちますので類語になります。読み方は「れつざ」となります。
「列座」は「同席」よりも格が上の人物や場を対象として使われることが多いです。ですので「列座」している相手は社長や部長のように、ある集団の中で一定以上の役職を持っている人を対象として使われることが多いです。そうした社会的地位の高い相手が出席するような場に参加する場合にも使われることが多いです。
これは「列座」の「列」は「順序や等級」という意味合いがあるため、そうしたことから参加する人物や場の格式などが意識されるからです。例文としては次のようなものが挙げられます。
「経済界の重鎮が集まる式典に我社の社長も列座された。」
参列
参列は、何らかの式や行事に他の参加者と同じように参加することを意味します。「同席」と同様、ある場所に複数の人々が集っているという意味を持ちます。読み方は「さんれつ」となります。
「参列」は「同席」よりも集まる場所の格が上の場合に使われることが多いです。したがって式典など格式が求められる場所に集まる場合に使われることもあります。これは「参列」の「参」は「目上の相手の所に行く」とか「神社などに行く」という意味合いを持っているからです。
そのため「参列」は、目上の相手や神社仏閣のような格式のある場所に集まる場合に使われることが多いです。例文としては次のようなものが挙げられます。
「閣僚も出席する式典に参列することを求められた。」
「同席」の例文
「同席」の例文は「同席」に「する」をつけたものを使う場合や「同席」に「のもと」をつけたものを使う場合などがあります。個別の詳細については次から紹介します。
する
「する」を使った「同席」の例文は、特定の集まりに参加したり特定の役割を行う場合に使うことがあります。「する」には、ある特定の物事を行うといった意味や特定の役割や業務を行うといった意味を持ちます。そのため特定の集まりに参加することや、その集まりに参加することである役割をはたすという意味合いを持ちます。
ですので単に誰かと一緒に特定の場所を訪れるだけでなく、その場所に訪れることで特定の仕事をこなす場合や、それらを行うことを他人に表明する場合にも使われることかあります。例文としては次のようなものがあります。
「上司の代理として、取引先の社長のご子息の結婚式に同席するよう指示を受けた。」
のもと
「のもと」を使った「同席」の例文は、「同席」することを前提条件として他の行動を求められる場合に使う時があります。「のもと」は、特定の状態であることを表すという意味や、特定の組織や個人の影響が及んでいる状態という意味を持ちます。
そのため前提として特定の状態、あるいは特定の組織や個人に属していることを前提として同じ場所に集まる場合に「同席のもと」を使うことがあります。ある場所に複数のグループごとに集まった状態で、さらに「同席」をして貰うという場合です。例文としては次のようなものが挙げられます。
「各社ごとに同席のもと、会場にお集まりください。」
「同席」の使い方
「同席」の使い方は、会話で使う場合とメールのような文章で使う場合があります。それぞれ使い方が異なる部分がありますので、詳細について紹介します。
会話
会話で「同席」を使う場合は、丁寧になり過ぎないよう適切な使い方で「同席」が使われます。これは会話では、極端に丁寧すぎる使い方は正しくない、もしくは好ましくないとされるからです。そのため国語的に正しい使い方で「同席」を使うことを求められる場合が多いです。
会話で丁寧すぎる使い方をすると慇懃無礼に取られる場合があるからです。これを避けるためにも、国語的に正しい丁寧すぎない言葉で「同席」を使うことが求められます。ただし特定の場所や業種では、慣習的に国語的には正しくない丁寧すぎる言葉使いでも使われている場合もありますので注意が必要です。
メール
メールのような文章で「同席」を使う場合は、会話で使う時よりも丁寧な使い方で「同席」が使われることが多いです。これは文章の場合は、会話よりも丁寧な言葉使いが求められるからです。そのため国語的には正しくないとされる丁寧すぎる言葉使いで「同席」を使う場合もあります。
特にメールの場合は、特定の業種や会社では慣習的に使われていることも多く、丁寧すぎる言葉使いだとしても日常的に使用が求められる場合もあるので注意が必要です。
「同席」の反対語
「同席」の反対語は「別席」があります。詳細については次から紹介します。
「別席」
「別席」は別々の席に分かれていること、あるいは今いる場所とは異なる場所に設けられた場に行くことを意味します。分かれて別々の場所にいることから「同席」の反対語になります。
それと同時に、ある場所で特定の行動をした後に別の場所で異なることをする場合にも使われます。これは会議のあとに宴席を設けたりする場合です。「別席」を使った例文は次のようなうなものが挙げられます。
「お集まりいただいた皆さまには、それぞれ別席に分かれていただきます。」
「同席」を使いこなしていきましょう
「同席」は結婚式のような冠婚葬祭だけでなく、ビジネスでも使うことの多い言葉です。それだけに巧く使いこなしていけば、日常だけでなくビジネスにおいても役に立ちます。そして間違った使い方をしてしまいトラブルになるといったことを避けることもできます。そのためにも「同席」の意味や使い方を理解し使いこなしていきましょう。