自己催眠は、他人の手を借りず、自分自身にかける催眠術のことです。自己催眠を効果的に使うと、大切な場面で実力を発揮しやすくなったり、難しい課題に取り掛かりやすくなったりします。本記事では、自己催眠を日常に取り入れ、毎日をより充実させる方法を紹介いたします。
自己催眠でやる気は作れる!
「ダイエットしたいけど、誘惑に負けてしまって続かない…」 「もっと勉強したいとは思っているけれど、やる気がでない…」 こんな場面に遭遇したことはありますか?やらなきゃいけないとは思っているものの、行動に起こすための意欲が湧かないのは口惜しいことです。自己催眠は、こんな「やる気が出ない」状況を打破することができる方法の1つです。
自己催眠を上手く使えるようになると、気分が乗らないことやなかなかうまくいかない物事を、スムーズに行うことができる効果が期待されます。自己催眠によって自分を誘導し、目標を達成しやすいようにするのです。 では、自己催眠とはそもそもどのようなものなのでしょうか?早速見ていきましょう。
自己催眠とは?
自己催眠は、文字通り自分自身に催眠術をかけることです。催眠術と聞くと、「奇抜な格好をした催眠術師が暗示をかけると、腕が動かなくなったりするもの」というイメージはありませんか? 自己催眠は、催眠術師ではなく、自分自身で自分の考え方や物事の捉え方に対して暗示をかけるというものです。このような側面から、自己催眠は「催眠術」というよりも「心理的アプローチ」といえる方法です。「自己暗示」とほぼ同義であるといえるでしょう。 自己催眠には、かかりやすい人とかかりにくい人がいます。
自己催眠にかかりやすい人の特徴
催眠へのかかりやすさのことを、「被暗示性」と呼びます。自己催眠の効果を実感しやすい人は、この「被暗示性」が高い人といえるでしょう。「被暗示性」が高いと、催眠に使う暗示文を素直に受け入れることができるのです。 自己催眠にかかりやすい人、すなわち自己催眠の効果を実感しやすい人は、3つの特徴を持っています。順番に見ていきましょう。
特徴1:想像力や感受性が豊か
自己催眠にかかりやすい人の特徴として、想像力や感受性が他人に比べて豊かであることが挙げられます。 たとえば、資格試験の合格を目的に自己催眠をするとします。「私は難関資格試験に合格した」という暗示文を提示した際、想像力のある人は「私を見て、周囲の人が驚いている」「資格が取れたので、自信を持って発言できている」というイメージを持つことができます。 なるべく具体的に、その場の雰囲気を想像することが大切です。このイメージの強さが、自己催眠のかかりやすさに影響するのです。自己催眠にかかりやすい人は、純真な心を持っている人ともいえます。
特徴2:素直で「天然」な人
周囲の人に「天然」と呼ばれたことはありますか?自分の感情の動きに素直であり、衝動的に動いてしまう人は、自己催眠にかかりやすい傾向があります。 かかりやすい理由は、受け取った暗示文を、文字通りに解釈することができるからです。人間は、受け取った文に対して、自分の主観や疑いの感情を混ぜて解釈してしまいがちです。「天然」な人は、感じたとおりに暗示文を解釈できます。 聞いたことを素直に受け止められる能力は、自己催眠という観点以外にも大切にしたい能力といえるでしょう。
特徴3:幽霊や怪奇現象を信じている人
幽霊や怪奇現象を信じている人は、自己催眠にかかりやすいといわれています。 自己催眠は、自らの心の奥底である「無意識」に働きかける暗示です。「無意識」はもちろん、目に見えることはありません。目に見えないものである「幽霊」を信じているということは、「無意識」への働きかけが上手な人であるといえるでしょう。 反対に、自己催眠にかかりにくい人はどんな特徴を持っているのでしょうか?
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自己催眠にかかりにくい人の特徴
自己催眠にかかりやすい人がいるのなら、元々自己催眠にかかりにくい人もいます。こういった人は、「被暗示性」が低く、簡単には催眠にかかりません。 自己催眠にかかりにくい人には、以下の3つの特徴が見られます。順番に見ていきましょう。
特徴1:催眠を信じていない
催眠術を信じていない人は、自己催眠にかかりにくいことが多いです。なぜ、かかりにくくなってしまうのでしょうか? 催眠術を信じていない人は、たとえ催眠術をかけられたとしても、「催眠術がかかるはずがない」と思っています。この時点で、自分の「無意識」に「私は催眠術にかからない」という暗示をかけているのです。 この暗示のために、自己催眠にかからなくなってしまうのです。また、催眠術に対してれっきとした意見を持っている人もかかりにくいといわれています。
特徴2:自分の意見を持っている人
1つの考えに対してこだわりがある人は、自己催眠にかかりにくいといわれています。 「催眠術を信じていない」という人はもとより、「催眠術には決まった手順がある」「催眠術は、自分ではなく他人がかけてこそ効果がある」など、催眠術に対して自分の中で意見があるとかかりにくいようです。 柔軟に物事を捉えられる人の方が、自己催眠にかかりやすいといえます。自己催眠をするときには、1つの考えにこだわらず、多方面から考えて行いましょう。また、喜怒哀楽の幅が小さい人も自己催眠がかかりにくいといわれています。
特徴3:感情を表に出さない人
喜怒哀楽をあまり表現しなかったり、そもそも表現することが苦手な人は、自己催眠にかかりにくいといわれています。 自己催眠は、暗示文からどれだけ意味を想像できるかどうかが成功の鍵といえます。感情は、この暗示文が示す意味・景色をより一層リアルに感じさせる働きを持っています。喜怒哀楽の表現が苦手だと、暗示文の持つ効果が半減してしまうのです。 ここまで、自己催眠にかかりやすい人とかかりにくい人について紹介してきました。では、自己催眠は実際にどのような効果を持っているのでしょうか?
自己催眠のメリット(良い効果)
自己催眠は、自分自身で自分にかける暗示のことです。自分でかけるので、暗示やその効果を他人に左右されることがありません。自己催眠の方法を知ることは、現在の生活に対してより良い働きかけができることといえます。 また、「現在」の自分にプラスの影響を与えられるようになれば、より前向きな将来設計図を立てられるようになるでしょう。この項では、自己催眠の持つメリットを3つ紹介いたします。
メリット1:ストレスを緩和しリラックス状態を作る自律訓練法ができる
実は、自己催眠は医療の現場で取り入れられています。主に不眠症の治療で使われており、「自律訓練法」と呼ばれています。 自律訓練法は、「身体の部位がだんだん温かくなる」「呼吸がスムーズに行えている」などの文を心の中で唱える自己催眠です。行う人は布団の中に入り、決まった順番で文を唱えます。文からイメージを膨らませると、だんだんと身体の力が抜けていき、睡眠に導かれるのです。 自律訓練法は、医療に裏付けされた、自分の力でできるリラックス法です。自己催眠を行うことで、リラックス状態を促し、精神的な健康を得ることができるといえます。また、自己催眠は気持ちを上向きに変えることができるといわれています。
メリット2:ポジティブな思考になる
ネガティブな思考が頭の中を支配してしまい、行動がとれなくなってしまうことはありませんか?自己催眠を上手く使うと、このネガティブ思考から抜け出すことができます。 ポジティブな暗示文を使って自己催眠を行うと、ネガティブな方向に考えが行ってしまうのを阻害できます。思考は、行動の源であり、行動を促してくれる大切なものです。 自己催眠を使って思考をポジティブにすることで、より良い未来に向けて具体的な行動を取れるようになるといえるでしょう。
メリット3:モチベーションが上がる
自己催眠を使うと、物事に対するモチベーションを上げることができます。 ストレスが緩和され、より良い方向に物事を考えられるようになると、行動へのモチベーションが上がるのです。「必ず成功する!」と思って行動できれば、1つひとつの過程さえも楽しい旅路になることでしょう。 自己催眠には、以上のようなメリットがあります。しかし、デメリットも存在するのです。順番に確認していきましょう。
自己催眠のデメリット
自己催眠と、プロの催眠術師が行う催眠術は異なるものです。プロではない個人が行うものなので、やり方を間違えると、危険を伴うといわれています。 この項では、自己催眠がもたらすデメリットを2つ紹介いたします。
デメリット1:自己催眠自体が難しい
自己催眠は、自分の手で行う催眠術です。そのため、習得が難しいという点があります。 最近では、個人を対象とした自己催眠セミナーが行われています。自己催眠をやろうと思えば、インターネットで情報を入手することもできます。しかし、必ず成功できるという確実な手順があるわけではありません。 個別のプロセスが存在するので、どの方法が自分に合っていて効果があるのか、自分の目で見極める必要があります。自分に合わない方法を行ってしまったり、無理に自己催眠を行おうとすると、危険な状態を引き起こしてしまいます。
デメリット2:精神的に悪影響を及ぼすこともある
自分に合わない方法で自己催眠を行ったり、無理に自己催眠を行ったりすると、あなたの精神に悪影響を及ぼす可能性があります。 自己催眠は、自分の「無意識」に働きかける方法です。自分が心から嫌がったり、辛いと感じていることを行わせようと暗示をかけると、「抑圧状態」を引き起こしまず。人間は「抑圧状態」に陥ると、体調を崩してしまったり、抑うつ感を感じたりします。 あなたに合った方法で、気を張り過ぎずに自己催眠を行う必要があるといえます。自己催眠は、正しく行えば安全に自己啓発を行うことができます。それでは、早速方法を見ていきましょう。
自己催眠のやり方とポイント
自己催眠は、以下の4つのポイントを押さえて行うことが大切です。自己催眠を成功させ、その効果を十分に得るには、正しい手順を踏まえるのが近道といえます。 シンプルな手順ですが、1つひとつを確実に行うことで自己催眠の成功率を上げることができます。順番に見ていきましょう。
1.トランス状態に入る(催眠誘導)
自己催眠を行うにあたって、「トランス状態」に入る必要があります。催眠術師が催眠術を行う前に、対象者を落ち着かせ、リラックス状態に導きます。このリラックス状態を、「トランス状態」といいます。意識を穏やかにさせ、暗示文を受け入れやすくするのです。 この「トランス状態」に入るには、いくつかの方法があります。照明をオレンジ色の柔らかいものにしたり、リラックスできる場所に移動したり(お気に入りのソファやベットなど)、自然音を聞くなどの方法が挙げられるでしょう。 「トランス状態」に入ることができましたか?それでは、自己暗示をしていきましょう。
2.暗示を入れる(催眠暗示)
自己催眠を行うときには、暗示文を用います。ゆっくりと深呼吸をし、目を閉じます。目を閉じた状態で、暗示文を心の中で読み上げます。暗示文から湧き上がるイメージを、強く脳内に描きます。 心の中で暗示文を読み上げる以外にも、CDに吹き込んだ文章を聞く方法があります。自分がもっとも暗示文に対するイメージを持てる方法を使いましょう。 リラックスした状態でイメージを続けていると、だんだんと眠くなってくる場合があります。その場合は、睡眠に移行しましょう。催眠状態で眠ると、強い催眠効果が期待できます。自己催眠の効果を高める方法は、他にもあります。
3.ヒーリング音楽が効果的
自己催眠の効果を高める方法として、ヒーリング音楽を聴くという方法があります。ヒーリング音楽はリラックス感を高め、体を「トランス状態」に上手く導いてくれます。 自然音がヒーリングミュージックとして収録されているCDや、自然の美しい景色の画像と共にリラックスできる音楽が流れている動画など、様々なものがあります。自分がもっとも使いやすいツールを使いましょう。 自己催眠の効果を高める方法として、自己催眠を行うときの環境を整えることが挙げられます。
4.自己催眠の効果は環境が決める!
自己催眠を行うには、強い集中力が必要です。自己催眠を行うときの集中力が、効果に直結します。では、集中力を高めるにはどうしたらいいのでしょうか? 集中力には、あなたの今いる「環境」が大きく関わります。部屋の気温や湿度は高すぎませんか?締め付けの強い服を着ていませんか?一番快適な環境は、言い換えると「気にすることがない状況」ともいえます。何か気になることがあったら、解決してから始めましょう。 飲酒や薬などで集中力が低くなってしまうことがあります。自己催眠を行うときは、可能な限り控えましょう。
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自己催眠の解き方
上手く自己催眠ができたでしょうか?自己催眠は、必要なときに行うことで、日常の動作をスムーズに行うことができます。しかし、このかけた自己催眠は解くことも可能なのです。かけた催眠があまり良い効果をもたらさないと思ったら、自己催眠を解いてみましょう。 この項では、自己催眠の解き方について説明いたします。
1.泡が「パチン」とはじけるところを想像する
自己催眠を解く方法は、とてもシンプルです。まず、頭の中に暗示文を思い浮かべます。次に、シャボン玉や泡が「パチン」とはじけるところを想像します。 なんと、この手続きだけで自己催眠は解くことができるのです。催眠術師が催眠を解くときに、手や指を鳴らしているのを見たことはありませんか?シャボン玉がはじける様子を想像すると、手や指の音を聞くのと同じ効果を得ることができます。 不必要な催眠は解いた方がいいといえます。しかし、あなたに良い効果をもたらすと分かった自己催眠は、必ずしも解く必要はないでしょう。
2.解かなくてもいい
自己催眠はあえて解かなくても構いません。これは、あなたの性格を少しずつ変化させていくのに役立ちます。 引っ込み思案な性格に悩むあなたは、「私は人前で堂々と振舞える」という自己催眠をかけました。自己催眠にかかったあなたは、人前にもかかわらず、いつも通りのパフォーマンスを行うことができました。 この自己催眠の場合、催眠を解かないでおくと、あなたの引っ込み思案な性格に働きかけることができるのです。「堂々と振舞う」ことが、あなたの「普通の状態」になれば、性格の悩みを解決することができるといえるでしょう。
自己催眠の暗示文のポイント
暗示文は、基本的に過去形か現在進行形で書きます。「○○になりたい」という文は、「現在は○○ではない」という現実を突きつける文になってしまいます。 過去形か現在進行形にすることで、暗示文は「過去にもう達成した」「今自分は確実にゴールに近づいている」というニュアンスを持ちます。 自己催眠の効果を上げる、暗示文の作り方のコツがあります。3つのコツを押さえて、効果的な暗示文を作りましょう。
1.行動+感情がおすすめ
暗示文を作るときには、「行動+感情」の形式を使いましょう。 ダイエットを目的に自己催眠を行う人は、「私は減量に成功したので、とても嬉しい」という暗示文を作ってみましょう。具体的に「何を行ったのか」と「その時どう感じたのか」を暗示文に含めることで、自己催眠におけるイメージが湧きやすくなるのです。 また、催眠の効果を高める暗示文は、現実の感覚との差が小さい文であるともいえます。
2.現実的であること
暗示文は、現実的な内容にすることをおすすめします。実際の自分とあまりにかけ離れた暗示文を作ってしまうと、イメージするのが難しくなってしまうからです。 また、暗示文は「完璧主義」にならないようにしましょう。完璧を求める文を作っても、実際に完璧になりきるのは難しいものです。自分の身の丈にあったなりたい姿を想像した方が、意欲も増すといえるでしょう。 暗示文を作るときには、あまり情報を詰め込み過ぎないようにすることも大切です。
3.短い文章
暗示文を作るときには、なるべく短い文にしましょう。 長い文を作ってしまうと、覚えられないばかりか、イメージがあやふやになってしまいます。基本的には、1回自己催眠で1個の暗示文を用います。しかし、どうしても長い文になってしまうときには、2文に分けるなどの工夫をしましょう。 暗示文は、自己催眠の際に必ず用いるものです。なるべく自分が意味を理解しやすい文を使うことで、自己催眠へのハードルを低くすることができます。スムーズに、且つ効果的に自己催眠を行うには、シンプルな手順と素直な心持ちが大切といえるでしょう。
自己催眠で、なりたい自分に近づこう
自己催眠は、あなたの日常生活にプラスの影響を与えることができます。「自己催眠」と聞くと、スピリチュアルで不可思議な方法という印象を受けるかもしれません。自己催眠は、一種のリラックス法であり、人間の能力を最大限に引き出すことのできる科学的な方法なのです。 自己催眠は、仕事・自己変革・恋愛など、様々な場面で使うことができます。恋愛の場面で使えば、距離を縮めたいと思っている素敵なあの人に、自然に話しかけることができるでしょう。 自己催眠は、「引き寄せの法則」と関連が深いといわれています。しかし、実際に自分の幸せを引き寄せるのは「自分自身の行動」です。自己催眠は、自分の背中を押してくれる促しの役割を果たすでしょう。自己催眠を使って、あなたの夢に一歩、近づいてみませんか?