同調行動って知っていますか?同調行動とは、たとえ自分の考えや意見と違ったとしても、まわりの意見や行動に合わせて、自分も同じように行動してしまう心理現象のことです。今回は、こ同調行動の効果を紹介し、マーケティングや恋愛に活かすときのコツを詳しく解説します。
無意識にまわりの人と同じ行動していることありませんか?
気が付いたらまわりの人と同じ行動をしていた、なんてことありませんか?これは同調行動と呼ばれる心理現象です。 私たちは無意識のうちに、さまざまな場面で同調行動を行っていて、その効果はかなり大きく、マーケティングや恋愛に活かすことができます。 今回は同調行動について、意味や理由、同調行動のメリットデメリット、同調行動をマーケティングや恋愛にどのように活かせるのかについて、詳しくご紹介していきます。
同調行動とは?
同調行動とは、たとえ自分の考えや意見と違ったとしても、まわりの意見や行動に合わせて、自分も同じように行動してしまう、心理現象のことです。 これは無意識に同調行動をとってしまうこともありますし、意図的に同調行動をする場合もあります。考えてみれば、なぜこんなにわざわざ意見を変えてまで、人に合わせてしまうのかちょっと不思議ですよね。しかもそれが当たり前になってしまっているのです。
同調行動の実験
同調行動の実験で有名なものに、アッシュの同調実験があります。アッシュの実験とは次のようなものです。 8人を実験室に集め、そのうちの7人が「サクラ」で、残りの一人がどう行動するかを見るものです。まず全員に、AとB2つの図版が渡されました。Aの図版は一本の線が書かれており、Bの図版は3本の長さの異なる線が書かれています。
そしてアッシュはBの図版の3つの線の中で、Aの図版の線と同じ長さのものはどれかと問い、参加者に答えさせます。これを繰り返します。するとサクラ全員が明らかに不正解なものを選んだ場合でも、残りの一人が同様に不正解を選ぶ傾向が見られました。 このことから私たちは、明らかに間違っていることでも、集団の中ではまわりに合わせ、間違った行動をしてしまう傾向にあるということがわかります。
同調行動の具体例
人は良い悪いに関係なく、ついまわりに合わせた同調行動を取ってしまう特性があります。では同調行動には、具体的にどんな行動があるのでしょうか。ここでは同調行動の具体例を、いくつか紹介していきます。
流行にのってしまう
同調行動の代表的なものに、流行があります。今年はロングスカートが流行っていると雑誌やテレビで見たら、ロングスカートを履かなければという気分になりますし、ロングスカートが急におしゃれに思えてきます。 また、まわりがロングスカートを履いていたら、自分もロングスカートを履かなければ、流行に乗り遅れてしまう、という気持ちになります。
今まで知らずに昨年流行っていたミニスカートを履いていたのに、急にミニスカートがダサく感じられます。なんだかずいぶん都合が良い感じがしますが、流行の力はこのくらい大きいものです。
ネットショッピングで口コミが良いものを購入してしまう
ネットショッピングなどの通販では、現物を確認できなかったり、商品を手に取れないため、本当に良い商品なのかがわかりません。同じような商品が沢山あって、どれを買えば良いのか迷ってしまうこともありますよね。 そんなとき、口コミやレビューが良いものがあればそれが決め手となり、迷わず購入してしまいませんか?沢山の人が良いと言っているものは、信頼できるものだと無意識に思ってしまいますよね。これも同調行動です。
赤信号みんなで渡れば怖くない
例えば、ほとんど車が通らない歩道の信号が赤だったので、変わるのを待っていたとします。そんなとき、自分以外のまわりの人がみんな、信号無視をして渡って行ったら、自分も一緒になって信号無視をしてしまったりしませんか? 一人のときは信号をしっかり守るのに、集団になったら簡単にルールを敗れてしまうのです。これも同調行動の一種です。
同調行動が起こる理由は?
流行にのってしまったり、口コミに影響されてつい商品を購入してしまうような、同調行動の具体例を説明しました。このことからわかるように、集団の中で私たち人間は、どうしてもみんなに合わせたがる性質を持っていることがわかります。 ではなぜ、このような同調行動が起こるのでしょうか?ここでは同調行動が起こる理由を2つご紹介します。
みんなに好かれたいから
同調行動が起こる大きな理由は、みんなに好かれたいからです。人は自分と同じ意見や行動をとる人を好きになるものです。そして自分と意見や行動が違う人を嫌います。ですから人に好かれたければ、まず同調すれば良いのです。 力のある人から嫌われたら、大変なことになります。その人に同調している人たち全員を敵に回す事になってしまいます。最悪その人たち全員から、嫌われて嫌がらせをされることだってあり得るのです。 そんなことになる位なら、同調しておいたほうが無難に生きていけます。こういった心理から、私たちは無意識に同調行動をとってしまうのです。
正しくありたいから
また正しくありたい、正しい事を選びたいという心理から、同調行動を起こすこともあります。多くの人が指示する意見や行動に従っていれば、ほぼ間違えることはないと思っているからです。 実際に正しいか正しくないかは、関係ありません。実際は正しくないことをしていたとしても関係なく、みんなが同調すれば正解だと思ってしまいがちです。 例えば、先ほどの「赤信号みんなで渡れば怖くない」という現象がそうです。こういう部分は、同調行動の恐いところでもあります。
同調行動のメリット・デメリットは?
同調行動が起こるのは、みんなに好かれたい気持ちと、正しくありたいという2つの心理からだとわかりました。 確かに同調行動しておけば嫌われる可能性が少なく、平和に生きていけるメリットがあります。しかし同調行動は、悪いことにも同調してしまうなどのデメリットもあるのです。 ここでは、同調行動のメリットとデメリットについて、いくつかご紹介していきます。
同調行動のメリット
まずは同調行動をすることのメリットについて、詳しく見てみましょう。
メリット1:みんなと同じ安心感がある
人は、みんなと意見や行動が同じだと安心できます。反対に人と違っているとものすごく不安になります。 日本人は特に、その傾向が強いです。会社などの組織もそうです。規則で縛り、みんながあえて同調行動をとるようにコントロールされます。しかしそれと同時に、組織の一員として認められているという、安心感も得られるのです。
メリット2:人から好かれやすい
先ほど、同調行動が起こる理由の一つに、人から好かれたいという心理がある事をお伝えしました。人は自分と同じ意見を持つ人を好きになりますので、同調行動さえとっておけば、それだけで好きになってもらえます。 逆に集団に睨まれたら終わりです。もちろん現代では、生命の危機とまではいかなくても、仲間外れなどの精神的な攻撃だけでも、相当辛いものには変わりはないのです。
メリット3:正しくいられる
また同調行動が起こるもう一つの理由に、正しくありたいという心理もあるとお伝えしました。人は自分だけまわりと違ったり、間違っていることに耐えられません。いつだって正解を選びたいという心理が働いています。 多くの人の意見に同調してさえいれば、ほとんどの場合、正しくいられます。もちろん間違えることもありますが、正しくいられる可能性はかなり高いと言えます。 たとえ間違っていたとしても、まわりもみんな間違っているので、そこは安心感が得られます。そのため間違えたダメージを減らすことが出来るのです。
メリット4:考えなくて良いので楽である
同調行動のメリットとして、まわりに合わせて流されていれば、自分でいちいち考えて、物事を決めなくても良い部分があります。 例えば友達と食事に行ったとき、レストランのメニューが多くても、友人と同じものを頼めば自分は決めなくて良いので楽です。これにはさらに、同調行動の効果で、友人からの好感度も上がるメリットがあります。 またメニューに人気No.1と書かれていれば、それに従って頼むだけで、素晴らしいものが食べられる可能性が高くなります。このように、あれこれ考えずに楽に選べて、結果的に満足できるというメリットがあるのです。
同調行動のデメリット
次に同調行動のデメリットにはどんなものがあるのでしょうか。詳しく見て行きましょう。
デメリット1:いじめの加害者になってしまう
同調行動のデメリットに、いじめの加害者になってしまう事が考えられます。同調行動をしていれば好かれるので、いじめの対象になる可能性があまり無くなります。その代わり、みんなが誰かをいじめ出したら、自分も一緒になっていじめなければならなくなります。 誰かが「あいつ、ムカつく」と言い始めたら、今までそう思っていなくても、同調の効果で、なんだか自分も「あいつ、ムカつく」と思いはじめてしまうこともあります。また一緒になっていじめなければ、今度は自分が標的にされかねないのです。 そんなことから、悪いと思ってようが思ってなかろうが、いじめの加害者になってしまう可能性が高くなります。集団でのいじめはエスカレートしてしまう傾向があり、最悪の場合、被害者を追い詰めてしまうこともあります。
そんなことから、悪いと思ってようが思ってなかろうが、いじめの加害者になってしまう可能性が高くなります。集団でのいじめはエスカレートしてしまう傾向があり、最悪の場合、被害者を追い詰めてしまうこともあります。
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デメリット2:個性が無くなる
同調行動ばかりとっていると、個性が無くなっていきます。自分を殺して他人に合わせた行動ばかりとっているなら、当然みんな同じようになり、自分らしさは無くなります。 本来、人はそれぞれ個性はあって当たり前なのです。それぞれの個性を伸ばすことで成長できるのです。それなのに誰かに同調することで、自分の意見を曲げてしまいがちです。このようにフラフラと他人に依存していては、立派な人物は生まれません。 特に日本人は、同調を良しとする傾向が強いため、何かに秀でた人物がなかなか育ちにくいのです。これでは国としての発展まで止めてしまう可能性もあるでしょう。
デメリット3:相手と一緒に間違える可能性がある
いじめのところでも触れましたが、同調行動が実は大変な間違いだったなんてことも、あり得ます。 例えば、みんなが路上駐車しているから、自分も路上駐車したとします。それなのに自分だけが駐車禁止を取られたなんてことも、あり得ます。そんなときに「みんながしていたから」なんて言い訳しても、駐車禁止の罪が消えるわけではありません。 軽い気持ちで同調行動したとしても、結果的には自分で決めたこととみなされてしまうのです。そういった危険があるのは、デメリットといえるでしょう。
デメリット4:自分の意見を言えなくなる
相手に好かれたくて同調行動をしていると、そこは違うんじゃないの?と内心思ったとしても、意見を言わず我慢して、まわりに合わせることも必要になります。 つまりまわりに同調するために、自分に嘘をつくことになります。こうなると人は正しくありたい欲求があるため、かなりストレスを感じてしまうことにもなります。
同調される側になることで人は本当に満足できる
同調行動のメリットとデメリットを見てきました。同調行動の一番のメリットは、なんといっても、楽できることではないでしょうか? わざわざ自分の意見を一生懸命伝えてわかってもらわなくても、同調行動さえとっていれば好かれるし、面倒なことに巻き込まれず、おいしい所だけとって生きていけます。 しかしその反面、相手に合わせて自分の意見を曲げてばかりいては。人は成長できません。個性を追求することこそが成長に繫がるのです。
結局のところ、安易に同調すれば確かにその時は安心できますが、長い目で見れば、結局自分の個性を出せずに辛くなってしまい、デメリットのほうが大きくなるのです。 同調行動を利用せずとも、自分を貫き続けていれば、いずれ信用が生まれます。芯が通っている人というのは、信頼されて好かれるものです。 結局は、自分の個性を出して好かれることでしか、自分が本当に認められたという満足感は得られないのです。これはつまり同調行動に従う側ではなく、従わせる側に回るということなのです。どうせなら同調される側を目指しましょう。
同調行動がマーケティングに活かされた事例
同調行動の心理効果は、マーケティングにも活かされています。ここでは、同調行動が、一体どのようにマーケティングに活かされているのか、いくつか事例を確認してみましょう。
コンビニの立ち読み
コンビニの立ち読みは、実は同調行動を意識しています。雑誌売り場は大抵、入り口側の窓際にありますよね。これによって立ち読みしている人が外から見えて、あたかも店がにぎわっているかのように演出できる効果があります。 誰も入っていない店には、用事がない限り入りませんが、客が沢山いるのがわかれば、なんとなく入りたくなるものです。こういった同調行動の心理が、実は集客にかしこく活かされていたのです。
店の行列
コンビニの立ち読みと同じような効果で、店の行列も同調行動を活かして、集客に役立てています。 サクラが並ぶこともあるかもしれませんが、多少わざと待たせるなどして、行列を作っていれば、同調行動で「自分も並ばなければならない」とまわりに無意識に思わせることができて、立派な集客になるのです。 客としては「もっと店員を増やせよ」と思ってしまいますが、あえて行列を作っておくほうが、より店の儲けに繫がるというわけなのです。もちろんやりすぎて、並ぶ時間が恐ろしく長くなれば逆効果になるので、加減は必要でしょう。
同調行動で相手の好意を見抜くコツ
同調行動の心理効果には、無意識に好きな相手と同じような行動をしたくなるというものがあります。これは恋愛でも同じです。人は好意を持っている相手の行動を、つい真似してしまうものなのです。 例えば、あなたが喫茶店で飲み物を手に取ったら、相手も同じタイミングで飲み物に手を伸ばす、あなたが窓の外を見たら相手も窓の外を見るなどが、同調行動です。このように行動のタイミングが重なることが多ければ、相手はあなたに好意を持っている可能性が高いのです。
もし脈なしの場合は、こういった同調行動は見られません。ただ元から友達だった場合は、同調行動をとる傾向がありますので、恋愛感情があるかどうかの判断は難しいところです。初対面や初めて会話する相手だと、はっきりわかりやすいでしょう。
同調行動に関連する心理学用語
同調行動に関連する心理学用語がいくつかありますので、ここでいくつかご紹介します。
ミラーリング
ミラーリング効果は心理学用語で「同調効果」とも呼ばれています。ミラーリング効果とは、人は好意を持った相手の表情や動作をつい真似してしまうという、心理現象のことです。また逆に自分と同じ表情や動作をする相手を、好きになる傾向もあります。 ミラーリング効果は、同調行動とほぼ同じ意味です。同調行動の一種とも言えます。
集団心理(群集心理)
集団心理とは、集団の中でのみ現れる集団特有の心理です。集団の中では匿名性が強くなり、個人の責任を感じづらくなります。また集団にいると、自分も強くなったかのような錯覚に陥ります。 このような心理状態から、同調行動が起きてきます。例えば会社で不正が行われていても、まわりが見て見ぬふりをしていたら、罪悪感が減り、自分もつい、見て見ぬふりをしまいがちです。また人の意見や行動に合わせることで、安心感を得るようになります。 このように集団心理は、同調行動に大きくかかわっていることが分かります。
バンドワゴン効果
バンドワゴン効果とは、大勢の人が指示している物事は、より一層支持される傾向にある、心理効果のことです。 バンドワゴンとは、パレードなどの行列の先頭を行く楽隊車のことを指しています。そしてバンドワゴン効果とは、時流に乗る、多勢に与する、勝ち馬に乗るということを意味しているのです。
たとえば商品に「30代女性の支持率NO.1」とか、有名人の「〇〇さんも愛用」とあれば、30代女性や有名人に対する好感度が高ければ、つい買いたくなってしまいますよね。また口コミで絶賛されていれば買ってみたくなります。このような心理が、バンドワゴン効果です。 このバンドワゴン効果も、無意識に他人に同調してしまう、同調行動の一種なのです。
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同調行動の心理を知って賢く利用して生きよう
同調行動の効果について、さまざまな角度から説明してきました。私たちは無意識に同調行動をとってしまっているとはいえ、冷静に見てみると「どうしてそうなるの?」とツッコミたくなるような行動もありますよね。 集団に従った行動が間違いがないというのは、まさにおかしな幻想です。赤信号だってみんなで渡れば問題なくなるし、いじめだって大したことでは無くなります。また情報にあやつられて、騙されることだってあるのです。これらは決して正しいこととは言えませんよね。 こういった間違いも正しいと判断してしまう集団の同調行動は、逆にコントロールしやすいといえます。だから学校も会社も集団行動なのです。集団の中にさえ入れてしまえば、大抵は同調行動をとって、みんな同じように行動してくれるからです。
同調行動で人をコントロールするマーケティング戦法は、たくさん行われています。これは単に私たちを騙すだけのものなのでしょうか。いいえ、決してそんなことはありません。 結局最後にその人が満足できれば、それは正解だったということになります。もし結果が最悪なら、それこそ集団を敵に回して叩かれてしまいます。逆にそんなリスクがあるからこそ、信頼も生まれるのです。
このように、同調行動の心理がどういうもので、どんなときに働くのかをを理解していれば、かしこくその心理効果に乗っかり、ダメな部分は自衛することが出来るのです。 ただまわりに流されるだけでは、馬鹿らしいです。あなたも今日から自分なりに同調行動心理を利用して、かしこく生きてみてはいかがでしょうか。